MotivAgent

MotivAgentは、スマホ上の架空キャラクターに見守られ、一緒に作業することで、タスクに対するモチベーションを高めるインタラクションアプリ。社会心理学の分野では「社会的促進」という概念がある。同一のタスクでも、自分の他に誰かがいる環境での取り組みではパフォーマンスが上がることが明らかになっている。近年、人間を模したロボットやエージェントの存在でもパフォーマンスが上がるという研究があり、スマートフォン上のアバターで見られている感を高めることでモチベーションを上げる試み。

作品の情報

●個人制作 / 学校課題(学部研究)

●カテゴリ:UI・UXデザイン/映像デザイン

●やったこと:サービスコンセプト策定・インタビュー・プロトタイプ作成・情報設計・・・

●制作期間:サービスデザイン…1ヶ月 / 効果検証…3週間 / 映像デザイン…1週間

成果物

コンセプトムービー

アプリ起動画面

※ボタンを押すとアプリの画面に移行します。内部カメラが起動しますので、許可できる場合のみご利用ください。

制作プロセス

制作背景

「社会的促進」

同一のタスクでも、自分の他に誰もいない環境での取り組みと、他者がいる環境での取り組みの成果を比較すると、その課題遂行量に差がある。(Allport,1924)

ソーシャルロボットから受ける心理的影響

人間とのコミュニケーションを可能とする「ソーシャルロボット」の存在も、他者存在条件と同様に社会的心理反応に影響することがわかった。(Riether,Hegel,Britta,Horstmann,2012)

制作コンセプト

今日、あらゆるデバイスで発展が目覚ましい仮想キャラクターに、ユーザーとのインタラクションが多く備わるようになったが、ここにも社会的心理状況が生じるとすれば、それを、人間のパフォーマンス向上に役立てることができるのではないか。

途中成果物

「エージェントとのインタラクションによる社会的促進を図る」というコンセプトをもとに、被視感(見られている感)を高めるための、エージェントのビジュアルと画面設計の検討。

エージェントのビジュアルおよび動き方に関するスタディを行なった。Processingを使用してエージェントを描画し、拡張機能であるOpenCV for Processingでユーザーの動きの中心を検知し、検出した座標に対応してキャラクターの顔、目、鼻、口等をパーツごとに動かして描画している。また、画面全体が立体的に見えるような工夫として、背景を点で表し、顔パーツとは反対方向に動かしている。この時点での懸念点として、Processingがポータブル端末向きの開発環境ではないことや、顔以外の動いている物体(腕・他の人物等)を検出してしまうことがあり、なかなかエージェントからの被視感が得難いこと、エージェントのビジュアルがまだまだアプリケーション向きではないことなどが挙げられた。その後、開発環境から再考し、アプリケーションとして自然に使用できる形態を模索した。

Googleの公開ライブラリであるTensorFlowのうち、スマートフォンのカメラ入力からユーザーの姿勢検出ができるPosenetモデルを用いて、端末のフロントカメラによってユーザーの顔位置を検出させた。

座標に対応して顔の各パーツおよび背景を描画し、動かしたり大きさを変えたりすることで、擬似的な立体のエージェントをタブレット端末の画面上に表した。黒目の位置のみを固定することで、ユーザーが動くたびに自分の方向に目線が向けられていると認識させ、「エージェントからの被視感(見られている感)」を高めた。加えて、呼吸を模した顔の上下運動、一定間隔の目の瞬きのアニメーションを施し、社会的促進効果の増進を図った。

検証プロセス

アプリによる効果検証

アプリの効果を実証するため、エージェントによるモチベーション向上効果を検証するタスク試行実験を行った。

右の単純試行タスクをProcessingで作成。ランダムに現れる1〜5の数字を順番にクリックする単純タスク。

ゲーム性を排除し、1度の試行を3〜4秒で終わる短めのタスクにすることで、満足感などの要因で試行が終了する可能性や、個人の忙しさが結果に影響しないよう留意した。

実験手続き

単純な繰り返しタスクを、通常条件とアプリケーション条件に分けて、計2ターム行う。条件の順番は無作為に入れ替えた。

「まだ続けたいと感じる範囲内で」と指示し、単純タスクを繰り返させた。実験後、各タームの試行回数を確認した。

PCやiPadのフロントカメラによる被視感の影響が出ないよう、通信をオフに設定して実験を行った。

実験環境

検証結果

実験後のアンケートでとった各タームごとの主観的評定値(楽しさ、モチベーション、集中力、難易度)。


楽しさ →増加


モチベーション →増加


難易度 →難化


集中力 →減少

タスクへの主観印象評定値を項目ごとにまとめたもの。楽しさやモチベーションの向上という面で アプリに一定の効果が認められる一方、主観的集中力の低下や難易度の増加という難点もみられる。

試行回数(タスクモチベーションの変化)

●人がいない環境を好む群

試行回数 →減少

 

●人がいる環境を好む群

試行回数 →増加

アンケートの最後に尋ねた作業環境の嗜好性別に群を分けて試行回数をまとめることで、客観的なモチベーション指標をまとめた。人がいない環境を好む群では試行回数が減少し、逆に人がいる環境を好む群では、試行回数が増加した。

検証による考察

●普段の作業環境の嗜好の違いで、アプリケーションからの社会的促進効果に差があることがわかる。

●周囲に人がいる環境のほうが集中できるという人を対象に、アプリケーションで作業への主観的な楽しさやモチベーションを引き上げさせ、課題遂行量を向上させる効果が期待できる。

●周囲に人がいない環境を好むという人を対象にすると、主観的楽しさや主観的モチベーションは増加するものの、作業量は減少したため、アプリケーションの効果に疑問がのこる。

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